2021.07.09
M&Aの仲介手数料にはどのような種類があるのでしょうか?
中⼩M&Aガイドラインでは、M&Aの仲介⼿数料を以下のとおり整理しています。
- 着⼿⾦
- ⽉額報酬(定額を毎⽉⽀払う)
- 中間⾦(案件完了前の⼀定時点(基本合意締結時等)に⽀払う)
- 成功報酬(案件完了時に⽀払う)
M&A仲介⼿数料の設定は、アドバイザーとしての性質が
- 仲介
- FA (売り手or買い手の⼀⽅にのみ付くアドバイザー)
によって異なり、
- 仲介 : 売り手・買い手の双方から報酬を受領
- FA : 売り手・買い手のいずれか一方(サポートした側)から報酬を受領
とするのが一般的です。
また、成功報酬を算定する際には、下記のレーマン⽅式によるものが多いです。
レーマン⽅式による仲介⼿数料の計算
レーマン⽅式とは、下表のM&A価格と割合に基づき、M&A仲介⼿数料を計算する⽅式を⾔います。
基準となる価格(円) | 乗じる割合 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円~10億円以下の部分 | 4% |
10億円~50億円以下の部分 | 3% |
50億円~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
なお、レーマン⽅式は特に法律等で定められた計算⽅法ではなく、
M&A仲介会社における実務慣⾏として設定されている⽅法です。
そのため、本来的には⾃由設定なのですが、現実的には上表の設定がそのまま適⽤されることが多いと⾔えます。
また、レーマン⽅式の「基準となる価額」には⼤きく分けて、以下の2種類が用いられます。
- 譲渡額基準 :M&Aの譲渡対価に対してレーマン方式を適用
- 移動総資産額基準 :売り手企業の総資産に対してレーマン方式を適用
上記のいずれを用いるかはM&A仲介会社次第ですが、
基本的には「移動総資産額基準」の⽅が仲介⼿数料は⾼く計算されることが多いと⾔えます。
M&A仲介手数料の設例
前提:売り手企業の財務数値、M&A対価は下記
総資産 10億円
総負債 7億円
純資産 3億円
M&A対価 5億円
■仲介手数料の計算結果
譲渡額基準:2,500万円
移動総資産額基準:4,500万円
■仲介手数料の計算プロセス
譲渡額基準:
M&A対価 5億円 x 5% = 2,500万円
移動総資産額基準:
総資産 10億円のため、レーマン方式では①「5億円以下の部分」5億円、②「5億円~10億円以下の部分」5億円に区分
① 5億円 x 5% = 2,500万円
② 5億円 x 4% = 2,000万円
M&A仲介手数料 = ① + ② = 4,500万円
以上より、同じ条件のM&Aであっても仲介⼿数料の計算⽅法により、
総額の手数料に⼤きな差額が発⽣することがある点に留意が必要です。